「人生100年時代」
東京弁護士会会員 安井規雄

1 不確実性の時代といわれる現代社会において、確実なのは年を重ねることです。われわれ会員にとっても同じです。
 若手会員は、「年金などはまだまだ先のことであり、今の生活の方が大切である。年金基金など考える余裕もないし、今入るメリットもない」などと考えるかも知れません。
 年々寿命が延びています。2018年の平均寿命は、男性は81.09歳と80歳を超えており、女性は87.26歳であり、90歳に近づいていて、将来は100歳までともいわれます。この100歳という年齢は、現在の医療水準の向上や生活環境の改善等からすると、それ程不可能な数字とは言えません。
 2017年6月の新聞に福井県鯖江市に「快足4兄弟」の異名をとるおじいちゃんがいるとのこと。長男100歳、次男97歳、四男90歳、五男88歳で4人合わせて375歳という超高齢兄弟。「60メートル走」にて全員あっという間に実走したといいます。今は珍しいですが、これからはこのようなことは、あまり珍しいことではなくなるかも知れません。
2 私は、かつて日本弁護士連国民年金基金の常務理事を務めていました。したがって、当基金のメリットを少しはわかっているつもりですが、常務理事在任中、当基金について色々なことをご教示いただきましたなかで、2つのことをお伝えしたいと思います。
 1つは、「預金こそが将来の生活の担保である」という弁護士がいました。同先生は、「俺は子供の世話などにはならん」と言い、話によると1億円近いお金を貯めたとのことです。この先生は、60歳半ばで仕事はしないとして、高級有料老人ホームに入所しました。入居金は、高額であり、毎月支払う金額も、10万円や20万円ではなくもっと高額であったとのことです。この先生は、自分の寿命を計算して、このホームに入居しましたが、自分が予想していた年齢以上に長生きしてしまいました。このため、自分の貯金が底をつき、この高級老人ホームから退去せざるを得なくなったといいます。国民年金に入り、当基金にも入っていれば、振り込まれる年金により将来の生活は心配なかったはずです。
3 2つは、A先生は第1の例の先生と同じく、預金中心の生活者です。B先生は、国民年金に入り、当基金にも入っている先生です。A先生は、夫婦で海外旅行へ行くため、銀行預金から50万円をおろしました。B先生も夫婦で海外旅行へ行くため50万円を用意しました。A先生は当基金に入っていないため、50万円をおろしたA先生の銀行の通帳に翌月、あるいは翌々月に当基金からの入金は当然のことながらありません。B先生は当基金に加入しているので、2、3ヶ月位で夫婦の通帳に合せて50万円程度が入金されてくるので、海外旅行代金の50万円は回復されます。
  A先生は、低金利の今、利息に期待することはできず自分で別のところから入金しない限り銀行の通帳に支出した金額(50万円)は回復されません。B先生は、当基金に入っているから、夫婦で入っていれば、2、3回の当基金からの振込により50万円くらいの金額は、元どおりとなります。これは非常に大きいメリットであり、年を重ねるごとに収入は限られてくるであろうからなおさらです。
4 若手弁護士は、「国民年金基金に入るメリットは、年齢が高くなってからであろう」と考えるかも知れません。しかし、当基金への掛金は、全額、社会保険料控除の対象となり、所得税、住民税が軽減されます。掛金の額を変えることもできるし、当基金は終身型年金です。掛金は年齢に応じて高くなるので、早く入ればメリットもあります。このように、若手弁護士にとってもメリットは十分あります。
 複雑多様化した現代社会において、自らの生活、家族の生活を守るには、多様な対応が必要ではないかと思います。若手弁護士にとっても多くのメリットがある当基金に入会することをあらためておすすめします。加入している会員も満額加入でなければ、増口をお考えいただけたらと思います。そういう私は、満額入っているとばかり思っていたところ、そうでないことをだいぶ後になって気付いたため、支給される金額は若干低い金額となっています。
  「人生100年時代」、複雑多様化した現代社会において、シニアライフはそれぞれが、それぞれで考える時代といえるでしょう。
水道の蛇口をひねらないと水は出ません。当基金への蛇口をひねり、安心のシニアライフを目ざしましょう。
  日本弁護士国民年金基金への加入をあらためておすすめします。

▲戻る
陽だまり 2019 No.47より