年金の給付を受けて想うこと
 大阪弁護士会会員 山本 忠雄

 この度、はからずも「陽だまり」41号への寄稿の依頼を受けました。私は、平成3年8月に日本弁護士国民年金基金の発会以来加入して来ましたが、平成18年3月、65才に達したことから終身年金の受給資格が出来、その給付を受けることとなりました。入会当時は、正直なところは毎年の確定申告時に所得額から掛金総額月額6.8万円まで社会保険料控除の上乗せが可能でありますので、節税目的が主たる動機でありました。しかし、一般民間人の定年年齢である65才という節目から、いざ終身年金として2ヶ月毎に16万6000円程の別途の振込を受ける立場になりますと、弁護士の職能団体の年金基金から受け取るこの年金は「生活ゆとり資金」とも言うべき特別の思いが込もったありがたい感じがしています。

 私は多くの会員と同様、個人事務所を経営しておりますので、自分の人生設計を自己責任で負える立場を享受しております。幸い気力・体力共未だ現役であると秘かに感じておりますが、5年前から夫婦のみの生活設計を考えて、高台の一戸建て住宅から平地のマンションに住居を変え、70才を過ぎた頃からは、健康管理上、毎日一万歩を歩くこと、趣味となって久しい囲碁のさまざまな会合には出席するように心懸けています。それ以外は運命の女神に委ねて、永年のモットーとしている独立自尊を基礎とする弁護士としての職務を一日々々こなしてゆきたいと願っています。
 昨今は、初対面の人からも「弁護士」の名刺を見て、「弁護士さんも大変ですね」と言われることが多くなりました。腹立たしい限りですが、この様な場合には「私はハーフリタイアーですので」とその後に続く不愉快な会話を早めに打ち切ることにしています。私自身は司法試験の受験を志した昔から、弁護士の仕事は大変依頼者にとって価値の高い、社会的意味のある、又私個人にとってはチャレンジングで、知的好奇心を満たしてくれる天職と観念しておりますので、むしろ楽しく、余り苦にはならないと言うことが出来ますが、未来の事は人智の及ばざる処で、運命の女神に委ねる外ありません。

 わが国は、少子高齢化の時代に入って久しく、国家財政も危機的水準に入ってきましたので、特に若い弁護士の方々は各自の将来構想を検討し、早い段階から出来るだけ多くのポケットを準備するのが良いと思います。
 これから年令を重ねるに伴って色々予想出来ない事も生ずると思います。70才という人生の節目の頃になると、終身一定の金額が弁護士の職能団体(本基金)から支給があることの価値を一層認識するようになりました。今後年令を経る毎に、益々その価値を高めてゆくことになると思います。
 私は、自分自身の経験上も、若い弁護士の皆さんには、長い弁護士生活の老後の備えとして数多くのポケットを用意することをおすすめしたいと思います。唯、私のこの年金はどのように使用するプランなのかと問われると、これは誰にも干渉されない「自由金」とでも言うべきものですので、皆様の御想像にお任せします。

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陽だまり 2013 No41より